-KINSEIKYU®(均整灸)とは
~深谷灸・お灸の技と理学療法の理論が融合した、新たな姿勢調整法~
KINSEIKYU®(均整灸)は、2011年にフェリップ・カウデット氏によって創始された、深谷灸・お灸の技と理学療法士のテクニックを用いて、姿勢のバランスを調整する施術方法
~基本原理と目的~
最大の特徴は、身体の経絡の滞りを判定し、お灸によってその緊張を緩和することで「姿勢のバランス」を整える点にあります。局所的な不調を改善するだけでなく、全身の気血の流れを正常化し、身体が自ら本来の健やかな状態(均整)へと戻ろうとする力を引き出すことを目的としています。
~独自の手法:3つの柱~
KINSEIKYU®は、以下の3つの専門技術を組み合わせて行われます。
1.灸法: 深谷灸の系譜を継ぐ、八分灸や竹筒灸を基本とした繊細かつ効果的な熱刺激。
2.筋膜リリース: 筋膜(ファシア)の走行に沿って組織を伸ばし、制限を解放する技術。
3.固有受容感覚テクニック: 理学療法の知見に基づき、足裏の感覚を変化させることによって脳や神経系へアプローチする高度な手法。
~3段階のアプローチ~
施術は以下の3つの階層に分かれて深まっていきます。
第1段階: 筋肉や関節などの「筋骨格系」へのアプローチ。
第2段階: 消化器・呼吸器・婦人科系などの「内臓器系」の改善。
第3段階: 悲しみや不安、精神的な緊張といった「メンタル・感情面」へのアプローチ。
~誕生の背景~
フェリップ・カウデットが理学療法の臨床を行っている際、姿勢を整えるためのポイントと、深谷灸で気血の滞りを解消するポイントが一致していることに気づいたのが始まりです。当初は「整体灸」と呼んでいましたが、より「均整を整える」という意味を込めて現在の名称となりました。現在は筋膜(ファシア)の最新知識を取り入れ、より繊細で効果的な治療点(体表面の反応)を使用する形へと進化し続けています。
-Felip Caudet(フェリップ・カウデット)について
~スペインが生んだ、日本式灸法の探求者~
フェリップ・カウデットは、スペイン・カタルーニャ州出身のきゅう師、鍼師、そして理学療法士です。1999年から鍼灸師、2000年から理学療法士として臨床の道に入り、現在はスペインのタラゴナにある治療院での臨床と、世界各国(日本、ブラジル、ドイツ、イギリスなど)でのセミナー講師活動を両立しています。
~深谷灸法とのつながり~
フェリップの治療家としての大きな転換点は、日本式灸法の匠・深谷伊三郎氏が考案した「深谷灸」との出会いでした。深谷灸法臨床研究会の主任講師・福島哲也氏、および深谷伊三郎氏の息子である新間英雄氏に師事し、10年以上にわたりその技術を深く学びました。この学びにより、気血の流れを現実的な身体の反応として捉える独自の視点を確立しました。
~理学療法と姿勢への専門性~
理学療法士としては、心肺疾患理学療法学や、ヨーロッパにおける姿勢バランス法の先駆けである「メジエール法(Método Mézières)」の修士号を取得しています。局所的な病変だけを見るのではなく、筋肉の連鎖(マッスル・チェイン)を通じて人間全体を観察し、その「姿勢」を健康の指標とする考え方は、ここから生まれました。
~世界的な発信力と実績~
灸に関する著書はスペイン語、英語などで出版され、数多くの国際ジャーナルにも論文が掲載されています。2023年には豪州鍼灸中医学学会(AACMAC)にてベストプレゼンテーション賞を受賞。2024年には日本伝統鍼灸学会学術大会にて特別講演を行うなど、現代におけるお灸の可能性を世界に発信し続けている、最も影響力のある灸法家の一人です。